アロマテラピーとは?
直訳するとアロマは芳香、テラピーは療法と言う意味であり、アロマテラピーと言う言い方はフランス語です(イギリス式ではアロマセラピーと言います)。
植物が自分の身を守る為に光合成の過程で作る油(炭化水素+官能基)を用いて、人間の不快症状を緩和する方法をアロマテラピーと名付けたのはフランス人
ルネ・モーリス・ガットフォセと言う科学者です。1927年頃のことですが、この年代はフレミングがペニシリンを発見したほぼ同年代に当たります。
アロマテラピーはお洒落で、婦女子が好む、さも新しい流行のようにイメージされますが、なんのことはなく、人類は太古から世界中至る所で老若男女、植物を食
物や薬として使ってきていることは周知の明です。またこのような民間伝承における植物から多くの薬が作られたのも事実です。
現代のアロマテラピーに使われる油(精油)を使用した最古の例としては、紀元前3000年あたりのエジプト時代に作られたミイラがあげられます。
5000年経っても腐れていないと言うことは、カビや微生物、害虫等に対する何らかの効果が、目に見える形で証明されているのではないでしょうか。
また、医学の祖であるヒポクラテスも精油を用い治療を行っていたそうです。また聖書の中では香油についての記述が多々あり、日常生活の中で治療や儀式に使われていたようです。
近
代医学の台頭後、治療としての精油の使用は衰退しましたが, 現代ではアロマテラピーが見直され、エステやアロマサロンのみならず、多くの病院や施設等で
も使用されています。
しかし精油を薬と似たような構造や作用、禁忌を持つ分子の集まりとしての認識・教育は徹底されておらず、
癒しやリラックスと言う目的で使用されています。
サロンでも病院においても、目の前の人が少しでも辛さを軽減し楽になって頂きたいとの、崇高な想いからア
ロマテラピーがなされていることと思いますが、この想いが仇になることなく、より安全に効果的なものとして人々の健康や幸福に更に貢献していくためにも、
科学的な知識や技術及びこれらを習得する教育に力を入れる必要があると考えます。
日本におけるアロマテラピーのイメージはその入ってきた経緯と教育の在り方にあると、鳥居鎮夫先生はその著「アロマテラピーの科学」の中で指摘されております。
日本に初めてアロマテラピーとして紹介されたのは、1985年イギリス式のリラクゼーションを目的とするアロマテラピーでした。従って私たちが抱く、
「お洒落」「セレブ」「癒し」と言うアロマのイメージは、イギリス式のアロマテラピーのイメージかもしれません。
フランスではイギリスより以前から、前述の化学者であるガットフォセが精油に含有される成分の分析をし、その薬理作用を研究し、医療現場で精油が使用さ
れてきた経緯があります。イギリスでも最近から病院等で使用され始めているようです。イギリス式アロマテラピーの祖であるマルグリット・モーリー女史も
ガットフォセの弟子でした 。
大切な点はどちらが優位か否かではなく、イギリス式とフランス式両方の良さが統合されることにより、更に社会の健康・福祉に貢献できるものであるべきだ
と考えます。イギリス式の良い点でありますトリートメント(人を撫でて安心させる行為)の良さと、フランス式アロマテラピーの真髄であるところの、芳香分
子の作用や禁忌をわきまえ安全に用いようとする科学的態度の両方が満たされて初めて、本来のアロマテラピーの良さが発揮できると思います。
現在メディカル・アロマテラピーと称する様々なアロマテラピーがあり、日本ではその考え方や教育が統一されていないのが現状です。人の身体に使用するには、
病院であれアロマサロンであれ、精油の有機化学を学び、分子の構造や作用、禁忌と、体質や病態、服薬状況との照合がなされて初めて、安全に対象者様へ使用
していけるものと思います。
また、アロマテラピーは現代医療の代替をなすものではなく、あくまでも病気に関しては治療優先であり、精油は慎重に使用することで、患者様のQOL(生
活の質)を高め、引いては治療への意欲の向上、またスタッフのメンタルヘルスの維持・向上に積極的に寄与する道具となりえましょう。
アロマテラピーに関する基礎研究は始まったばかりであり、介護や看護場面で精油を使用するには、まずは医療従事者ご自身が精油の化学の理論と解剖生理学
の兼ね合いを学び、ご自身へのセルフケアで理論を生かす経験をいくつも重ねながら、それらを基礎研究や臨床研究に繋げ、その後病気を持った方々に応用して
いけるものと考えます。
これまでの研究においても、感染症の緩和、ストレス軽減、スキンケア、末梢循環の改善などの研究報告があります。
ケモタイプ精油とは?
植物は自然環境や生育地の土壌、気候、収穫時期、抽出方法により同じ植物でも内容成分が大きく変わります。
ケモタイプ精油とは、科、属、種は同じである植物から抽出したにしても、芳香分子の化学組成が大幅に異なるものを化学組成別に分類 したものを言います。このように分類されていなければ、個体差に対応することは難しくなります。
アロマテラピーで人に精油を使うなら、、香りを嗅ぐにしても、身体に塗布するにしても、精油は薬に似た修飾構造を持つものなので、含有成分を確かめ、嗅
いでいいものなのか悪いのか、塗ってもいいものなのか悪いのかの判断をきちんとした上で使用することが、危機回避すなわち安心・安全に繋がります。
そのような判断の基準になるものとして、内容成分が抽出する度にガスクロマトグラフィーなどの分析機器によって分析され、成分分析表として添付されていることが重要になってきます。
植物も生きて変化しており、土も季節も天候も変わるので、 同じ植物から採油したとしても毎回含有成分が同じと安易に捉えることなく、精油を抽出する水蒸
気蒸留の工程(ロット)ごとに分析されたケモタイプ精油を、対象者様の体質、状況、もしご病気ならその病態や服薬状況を踏まえ使用することが、人を守り、
自分を守ることに繋がると考えます。(文責:宮森 孝子)
マリアズリリーアロマテラピースクールの目指すところ
当教室は2002年、九州で初めてナード・アロマテラピー協会の認定校として、沖縄県産業振興公社の創業者支援の融資を受け開校致しております。またナードの上級コースの資格全てを取得できます。
ナード・アロマテラピー協会の提唱するアロマテラピーは、フランス式アロマテラピーに遠く依拠し、成分分析された信頼度の高い精油(ケモタイプ精油)を用い、自分で、自分自身に行うことを 基本とするセルフケアの方法の1つとして提案しています。
マ リアズリリーアロマテラピースクールでは、植物が自身の身を守る為に作った精油の科学的根拠や理論(精油の分子の構造や作用、禁忌)を学び、自分の心と身体の健康は自分で守ること、病気になる前に日常のストレスを自分でケアすること、また病気になったとしてもQOL(生活の質、人生の質、生き方の品格)を高めていけるよう、個々の状況や個体差に合ったアプローチの方法を学びます。
このようなアロマテラピーを用いたセルフケアの行為が、とりもなおさず自己効力感に繋がり、引いては自分の人生に責任を持ち、与えられた命に感謝しつつ、豊かに幸せに生きる縁(よすが)になることを目指します。
(文責:宮森 孝子)
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